田中辰雄さんと浜屋敏さんの共著『ネットは社会を分断しない』(角川新書,2019年)の主張に対して、理論と実証の両面から反駁を加えた論考です。
すでに学会報告で公表済みの内容ではありますが、ネットの分極化効果にかんする計量分析(の問題点)を理解するにはかなり専門的な知識を要するので、一般向けにできるだけわかりやすく書き直したつもりです。
ご高覧のほど。
1.ネットによる「社会の分断」本年1月末、イギリスはついにEUを離脱した。だが、それをめぐって二分された世論の溝は、そう簡単に埋まりそうにはない。ふたたび大統領選挙を迎えるアメリカでも、共和党と民主党の、あるいは保守とリ...