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インターネットにおける「右傾化」現象に関する実証研究

調査結果概要報告書


§1.調査の目的と方法
§2.「右傾化」にかかわる政治的諸態度とそれらの関連構造
§3.「ネット右翼」的な層の推計と分析
§4.右傾性因子とネット利用行動等との関連
§5.右傾性因子を用いたクラスタ分析によるケースの類型化
  参照文献
  付属資料: 調査票および単純集計結果

辻 大 介


報告書PDFファイル [ 1.6MB ]

2008年9月10日 発行

知見の概要

  1. 「ネット右翼」について一般に指摘されることの多い特徴をもとに、次のa)〜c)の3条件によって「ネット右翼」的な層を操作的に定義した。その比率は、本調査の有効サンプル数の1.3%であった(全998人中の13人)。ただし、今回の調査サンプルにはインターネットのヘビーユーザが多いという偏りがあるため、一般的なインターネット利用者における比率は、1%を下回るものと推測される。
    1. 「韓国」「中国」いずれに対しても、「あまり」「まったく」親しみを感じないと回答
    2. 「首相や大臣の靖国神社への公式参拝」「憲法9条1項(戦争放棄)の改正」「憲法9条2項(軍隊・戦力の不保持)の改正」「小中学校の式典での国旗掲揚・国歌斉唱」「小中学校での愛国心教育」という5項目すべてに「賛成」「やや賛成」と回答
    3. この1年の間に、政治や社会の問題について「自分のホームページに、意見や考えを書きこんだ」「他の人のブログに、自分の意見や考えをコメントした」「電子掲示板やメーリングリスト等で議論に参加した」という3項目いずれかに、したことが「ある」と回答
  2. 上記の条件b)を「3項目以上に賛成」に緩和した場合、「ネット右翼」的な層は31サンプルになる。この定義条件を緩和した「ネット右翼」的な層の特徴は、男性が多い、掲示板「2ちゃんねる」の利用頻度が高い、「マスコミの情報は偏っていて信用できない」とする傾向が強い、「炎上」に許容的、などである。
  3. ただ、これらの層は、ネットの外でも署名・投書・集会出席などの活動に積極的な傾向がみられる。このことからすれば、「ネット右翼」はネット特有の現象というよりも「リアル」と地続きの現象であり、これまでは目につきにくかった「右翼」的な潜在層がネット上で可視化されたととらえるのが適当かもしれない。
  4. 右傾性5因子――移民排斥感情、移民肯定評価、政治的ナショナル・プライド、文化的ナショナル・プライド、愛国心――を従属変数とし、メディア利用時間やネット利用諸項目を独立変数とした重回帰分析をおこなった結果、ネットの総利用時間よりも「2ちゃんねる」利用のほうが右傾性因子と多くの関連を示した。
  5. 右傾性5因子を用いたクラスタ分析によりサンプルを、第1クラスタ(排外性=低、愛国性=中)、第2クラスタ(排外=高、愛国=高)、第3クラスタ(排外=中、愛国=低)に分類。第3クラスタは他に比べて、政治参加・社会参加・協力行動・対人関係など全般において消極的・不活発な傾向がみられた。