編著『ネット社会と民主主義 ―「分断」問題を調査データから検証する』

ネット社会と民主主義 書影

共同研究者との調査研究の成果をまとめた論文集です。
コロナ禍で思うように執筆・編集作業が進まず、当初の見込みよりかなり遅れてしまいましたが、本日公刊されました。

最近のネット研究ではAPI等から取得したオンラインデータによる計算社会科学的アプローチが目立ちますが、伝統的な質問紙調査(いわゆるアンケート調査)によって初めて明らかにできることも数多くあります。
本書で用いているサーベイデータには、ランダムサンプリングによる全国規模の調査が含まれており、統計的信頼性の点でも他の関連研究と一線を画します。
計量調査研究者としては渾身の一冊です。

目次立てにありますように、錚々たる執筆陣(編者以外)の論考が並びます。
用いられている統計解析の妥当性まで吟味するには大学院レベルの専門知識が必要ですが、論旨そのものは本文を追っていけば学部生でも十分理解いただけるはずです。
ご高覧のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。

インターネットが8割を超えて普及する時代を迎え,世論の分断や党派対立はますます激しくなったかのように見える。しかし,そこで生じている「分断」とは,いったいどのようなものなのか。社会学・社会心理学におけるネット研究の碩学たちが分析するネット社会と民主主義のゆくえやいかに…?

序 章 ネット社会と民主主義の「分断」問題〔辻 大介〕
第1章 ネットの影響は強力なのか――社会学の観点からの理論的検討〔鈴木謙介〕
第2章 ネットは政治的意見への接触を偏狭にするか――安倍政権に対する支持と意見を題材に〔北村 智〕
第3章 ニュースへの接触パターンは政治的態度とどのように関連しているか〔小笠原盛浩〕
[コラム1] リベラル紙/保守紙購読者の現在形――彼ら/彼女らの政治的態度・社会経済的地位はどう異なるか〔渡辺健太郎〕
第4章 ネットは自民党支持を固定化させるのか――3時点にわたる追跡ウェブ調査データからの検証〔田辺俊介〕
第5章 誰がなぜ改憲に賛成・反対しているのか――自由記述データの計量テキスト分析から〔樋口耕一〕
第6章 デジタルネイティブ世代は分極化しているか〔浅野智彦〕
[コラム2] 「嫌韓嫌中」意識とTwitterでの発信行動――発信の有無と頻度の違いに着目して〔齋藤僚介〕
第7章 SNSは他者への一般的信頼を損なうか――パネル調査データによる検討〔三浦麻子〕
第8章 ネットは人を異なる意見に不寛容にするか〔河井大介〕
第9章 ネットは世論を分極化するか――政権支持と改憲賛否を中心に検証する〔辻 大介〕
終 章 ネット社会と民主主義のゆくえ〔辻 大介〕